授乳中は妊娠しにくい?知っておきたい妊娠の可能性と注意点

「授乳中だから妊娠しにくい」という話を耳にしたことはありませんか?

産後の体は大きく変化し、育児に追われる日々の中で、妊娠のことまで考える余裕がないかもしれません。

しかし、授乳中だからといって油断していると、思わぬタイミングで次の妊娠に気づくことも。

授乳中の妊娠に関する正しい知識を身につけることで、計画的な家族計画が可能になります。

この記事では、授乳中の妊娠についての疑問を解消し、安心して育児に専念できるよう、専門家の立場から詳しく解説します。

あなたの不安を和らげ、適切な判断ができるよう、一緒に考えていきましょう。

 

授乳中でも妊娠できるの?

結論から言えば、授乳中でも妊娠する可能性はあります。

授乳中は一般的に排卵が抑制されるため、妊娠しにくくなる傾向にあります。

しかし、個人差が大きく、完全に妊娠を防ぐことはできません。

授乳の頻度や方法、赤ちゃんの月齢によっても状況は変わってきます。

例えば、完全母乳で頻繁に授乳している場合は、排卵が抑えられやすいでしょう。

一方で、混合栄養や夜間の授乳回数が減ってくると、排卵が再開する可能性が高くなります。

多くの女性は産後6〜8週頃から排卵が始まると言われていますが、個人差が大きいのが特徴です。

ポイント:授乳中でも妊娠の可能性はあり、個人差や授乳方法によって妊娠しやすさは変わります。油断は禁物です。

 

ホルモンの影響で妊娠しにくくなる

授乳中に妊娠しにくくなる主な理由は、プロラクチンというホルモンの影響です。

プロラクチンは母乳の分泌を促すホルモンで、授乳中は高い水準で分泌されます。

このホルモンは同時に、排卵を抑制する作用も持っています。

授乳の刺激によってプロラクチンが分泌され、排卵に必要な卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌が抑えられるのです。

特に完全母乳育児で、昼夜を問わず頻繁に授乳している場合は、この効果が顕著に現れます。

世界保健機関(WHO)のデータによると、完全母乳育児を行っている場合、産後6ヶ月間は約98%の確率で排卵が抑制されるとされています。

ただし、これは理想的な条件下での数字であり、現実にはさまざまな要因が影響します。

ポイント:プロラクチンの作用で排卵が抑制されますが、その効果は授乳方法や個人差によって大きく異なります。

 

でも…100%妊娠しないわけではありません

授乳中は妊娠しにくいとはいえ、100%妊娠しないわけではありません。

実際に、授乳中に気づかないうちに妊娠してしまうケースも少なくありません。

授乳中でも排卵が起こる可能性があり、特に産後6ヶ月を過ぎると、その確率は徐々に高くなっていきます。

また、母乳育児であっても、夜間の授乳回数が減ったり、離乳食の開始で日中の授乳間隔が空いたりすると、排卵が再開しやすくなります。

さらに、ストレスや極端な運動、急激な体重変化などの要因も、ホルモンバランスに影響を与え、排卵を促す可能性があります。

日本産科婦人科学会の調査によると、授乳中の避妊法として母乳育児だけに頼った場合、約20%の女性が1年以内に妊娠したという結果も報告されています。

ポイント:授乳中でも排卵と妊娠の可能性はあり、完全に避妊効果があるわけではありません。確実な避妊を望む場合は他の方法も検討しましょう。

 

産後の性生活は慎重に

産後の性生活再開にあたっては、慎重な対応が求められます。

産後の身体は大きく変化しており、回復には個人差があります。

一般的に、産後4〜6週間は性行為を控えることが推奨されています。

これは、出産による傷が完全に治癒し、子宮が元の大きさに戻るまでの期間を考慮したものです。

しかし、身体の回復だけでなく、精神的な準備も重要です。

産後うつや育児ストレスなどにより、性行為に対する気持ちの準備ができていない場合もあるでしょう。

パートナーとよく話し合い、お互いの気持ちを確認することが大切です。

また、性行為を再開する際は、必ず避妊について考えましょう。

授乳中だからといって避妊を怠ると、思わぬタイミングで妊娠する可能性があります。

コンドームやピルなど、自分に合った避妊法を選択することが重要です。

ポイント:産後の性生活再開は身体と心の準備ができてから。パートナーと相談し、適切な避妊法を選びましょう。

 

授乳中に次の妊娠を計画しているママへ

授乳中に次の妊娠を考えている方もいるかもしれません。

しかし、授乳中の妊娠には注意が必要です。

まず、授乳中は体内の栄養素が赤ちゃんに優先的に使われるため、妊娠に必要な栄養が不足しがちです。

特に葉酸やカルシウム、鉄分などが不足しやすく、胎児の健康に影響を与える可能性があります。

また、妊娠中の授乳は母体への負担が大きく、早産や低出生体重児のリスクが高まるとの研究結果もあります。

世界保健機関(WHO)は、出産間隔を18〜24ヶ月以上空けることを推奨しています。

これは、母体の回復と次の妊娠に向けての準備期間を確保するためです。

もし授乳中に妊娠を希望する場合は、必ず医師や助産師に相談し、適切な栄養摂取や体調管理について指導を受けましょう。

ポイント:授乳中の妊娠は母子ともにリスクがあります。計画的な妊娠と適切な間隔を心がけ、専門家に相談しましょう。

 

①断乳のタイミング

次の妊娠を考える際、断乳のタイミングは重要な検討事項です。

一般的に、妊娠が判明したら断乳を検討することが多いですが、状況によってはそれ以前に断乳を始める場合もあります。

断乳のタイミングは、赤ちゃんの月齢や母体の状態、家族の希望などを総合的に考慮して決めるべきです。

例えば、赤ちゃんが1歳を過ぎて離乳食が進んでいれば、断乳のよいタイミングかもしれません。

一方で、まだ母乳が主な栄養源である場合は、急な断乳は避けた方が良いでしょう。

断乳を急ぐと、乳腺炎のリスクが高まったり、赤ちゃんのストレスになったりする可能性があります。

徐々に授乳回数を減らしていく「卒乳」という方法もあります。

これは赤ちゃんのペースに合わせて自然に母乳を離れていく方法で、心理的なストレスを軽減できます。

ポイント:断乳は赤ちゃんと母体の状態を見ながら慎重に進めましょう。急がず、自然なペースで行うのが理想的です。

 

②オキシトシンと妊娠の影響

授乳中は、オキシトシンというホルモンが分泌されます。

このホルモンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、母乳の分泌を促進するだけでなく、母子の絆を深める効果があります。

しかし、妊娠中に授乳を続けると、このオキシトシンが子宮収縮を引き起こす可能性があります。

特に妊娠初期は流産のリスクが高まる時期であり、オキシトシンによる子宮収縮は注意が必要です。

一方で、妊娠後期になると、オキシトシンは陣痛を促進する作用があります。

そのため、妊娠後期に授乳を続けていると、予定日よりも早く陣痛が始まる可能性があります。

ただし、これらの影響は個人差が大きく、すべての人に当てはまるわけではありません。

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、妊娠中の授乳について明確な禁忌とはしていませんが、個別の状況に応じて判断するよう推奨しています。

ポイント:妊娠中の授乳はオキシトシンの影響で子宮収縮を引き起こす可能性があります。医師と相談しながら慎重に判断しましょう。

 

まとめ

授乳中の妊娠について、重要なポイントを整理しましょう。

・授乳中でも妊娠する可能性はあります。
・プロラクチンの影響で排卵が抑制されますが、100%の避妊効果はありません。
・産後の性生活再開は慎重に行い、適切な避妊法を選択しましょう。
・授乳中の妊娠には栄養面やリスクの観点から注意が必要です。
・断乳のタイミングは個々の状況に応じて慎重に判断しましょう。
・妊娠中の授乳はオキシトシンの影響を考慮する必要があります。

 

最後に

授乳中の妊娠に関する正しい知識を持つことは、あなたの家族計画にとって非常に重要です。

個々の状況は異なりますので、不安や疑問がある場合は、遠慮なく医師や助産師に相談してください。

あなたの体調と赤ちゃんの健康を第一に考え、慎重に判断することが大切です。

正しい情報を元に、あなたにとって最適な選択ができますように。

安心して育児に専念できる環境づくりのために、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
ブログに戻る